戦略から実行へ。学びで加速するInspire 2027
川 村グローバル・コーポレート・ユニバーシティのロードマップを考えるうえで、私たちのコアカリキュラムは大きく3つの柱で構成されています。第一に、日立の企業文化をグローバルに浸透させていくこと。第二に、グローバルおよび各地域において次世代リーダーを育成すること。そして第三に、Inspire 2027の実行を直接的に支えていくことです。
まずは立ち上げとして、リーダーシップの基盤とビジネスに不可欠なスキルを網羅した、自己応募型プログラムを展開します。さらに今後1年を目途に、このCollaboration Officeのモデルを欧州、米州、中国へと展開し、グローバルで連動するL&D体制の確立をめざしていきます。
Ashutosh第一の柱である「企業文化」にしっかりと焦点を当てることは、極めて重要だと考えています。日立は100年以上にわたり成功を重ねてきた日本企業であり、その根底にある価値観や歴史をグローバルの従業員と共有することは不可欠です。
さらに、日立はM&Aを通じて事業を急速に拡大していることから、新たに加わる人財をいかに迅速に企業文化へと迎え入れるかが重要になります。そうすることで、彼らが早い段階から日立の一員として自然に組織に溶け込むことができます。この文化的な基盤が確固たるものとなって初めて、リーダーシップの育成や事業戦略の実行も、着実に前進していくのです。
Yinn文化、リーダーシップ、Inspire 2027の実施という3つの柱の整理は、とても明快で素晴らしいと思います。個人的な経験からも、リーダーシッププログラムは人生を変えるほどのインパクトを持つものだと実感しています。とりわけGAP-Kは、「目的を持ってリードする」とは何かを改めて問い直す機会となり、今のマネジメントの在り方にも大きな影響を与え続けています。
第三の柱、Inspire 2027について、ひとつ私から具体的な要望を挙げるとしたら、日立のコアとなる概念をより分かりやすく解きほぐし、誰もが理解しやすい形にしていくことに注力していただきたいという点です。タウンホールなどの場では、「Lumada」や「HMAX」といったキーワードが頻繁に共有されますが、必ずしもすべての従業員にとって直感的に理解しやすいものではありません。こうしたハイレベルのコンセプトを実践的で理解しやすい言葉に翻訳し、すべての従業員が自らの日常業務と会社の目標とを結びつけて捉えられるようになるために、L&Dは非常に重要な役割を果たすことができるはずです。
従業員一人ひとりが、Lumadaのフレームワークと、顧客との協創による価値創出というその本質をしっかりと理解することこそが、戦略目標の達成につながります。
その実現に向けて、L&Dは重要な推進役となります。エンジニアや営業などの現場が、Lumadaエコシステムをさらに広げていくために必要な力を育み、戦略を実行へとつなげていく役割を担うのです。
Ashutoshまさにその点に共感します。Inspire 2027に関するこうした個別の概念を分かりやすく分解した、目的に応じたeラーニングを展開できれば、従業員全体の理解と方向性をしっかりと揃えていくことができるはずです。
川 村結局のところ、Lumadaを最も効果的に伝える方法は、各地域で生まれた実践的な成功事例を捉え、それを教育用のケーススタディとして共有していくことです。そのためには、各地域のCollaboration Officeが、現地の事業開発チームと緊密に連携し、一体となって取り組んでいく必要があります。
Yinn さらに言えば、TTTモデルは、組織としてのナレッジを持続的に保持するうえで重要な役割を果たします。外部のコンサルタントだけに頼っていると、その知見の多くは契約終了とともに失われてしまいます。しかし、社内のリーダーが研修トレーナーを担うことで、参加者から共有される多様なアイデアや業界横断的な課題を自ら吸収することができます。そして次の機会で、それらの知見を結びつけ、異なるBUの人財同士をつなぐことが可能になります。こうすることで、外部ベンダーへのコストを削減するだけでなく、組織内に豊かなナレッジネットワークが形成されるのです。
Ashutosh加えて、人々のつながりがもたらす効果を過小評価してはなりません。インドでGAP-Mプログラムを実施するため、多様なグループ会社の従業員たちが一堂に会すと、参加者同士が自発的に有機的なパートナーシップを築き、お互いのビジネス課題について支え合う姿を目にします。またインドでは、社内研修トレーナーが一貫して非常に高い評価を得ています。なぜなら、彼らは日立の精神を深く理解しているからです。彼らはリーダーの言葉を共有し、組織特有の課題を的確に捉えたうえで、学びを自分たちのために完璧にカスタマイズしてくれる存在なのです。
川 村中長期的には、トレーナーは自地域にとどまらず、各地域で育成された経験豊富な人財が他地域へと展開し支援していく姿を見据えています。そのためにも、まずは基盤となる必須要素を確実に整え、運営を安定化させたうえで、段階的にスケールしていく考えです。
Yinnこのトレーナーネットワークの活性化と品質担保の観点から、公式のデジタルバッジや認定制度の導入が有効です。たとえば「Hitachi Academy Certified Trainer」といった公式資格を設けることで、個々のモチベーションと誇りを高めるとともに、社内におけるブランド価値の向上にもつながります。こうした仕組みにより、L&Dの取り組みがグローバルにどのような成果を生み出しているのかを可視化し、定量的に把握することも可能になります。
川 村それは素晴らしいアイデアですね! Collaboration Officeの構築と地域リーダーたちのエンパワーメントは、非常に意義深く刺激的な挑戦になるはずです。これから直面する課題も、私たちをさらに強くしてくれるものとなるでしょう。そして、グローバルビジネスを支えるための取り組みを、さらに一層強化していけることを楽しみにしています。