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株式会社 日立アカデミー

2026

♯05

Academy Letters

ソニー×日立 対談:
企業内大学の真価とは?

安部 和志 氏
ソニーグループ アドバイザー、
ソニーユニバーシティ学長

川村 肇
日立アカデミー 取締役社長

加速するグローバル化とAIの進化。激変する経営環境において、次世代を担うリーダーの育成は、企業の持続的成長を左右する最重要課題です。本号では、ソニーユニバーシティの安部和志学長と日立アカデミー社長 川村肇による特別対談が実現。リーダー像を体系化しモデル構築を進める日立と、個の自分らしさを重んじるソニー。異なるアプローチを持つ両社が考える、企業内大学の真の役割とは。変革の時代を生き抜くための学びについての対談をお届けします。

グローバル化する組織において、企業内大学が担うべき姿

川 村まずは、ビジネスのグローバル化に伴う人財育成の課題について整理しましょう。日立の場合、事業自体はグローバルに展開していますが、人財育成は各国の法人で独自に行なってきました。日立アカデミーの育成対象もこれまでは主に日本国内が中心で、グローバルな展開は一部の経営層育成プログラムに限定されていました。ソニーユニバーシティは、グローバルな企業内大学として、世界中の社員にリーチしているので、日立でも同様の仕組みを構築したいと考えています。
安部氏社会も企業も絶え間なく変化し続ける中、組織に影響力を持つリーダーの育成と、向かうべき方向性の統一はますます重要になっています。特にソニーはエレクトロニクスからコンテンツへと事業構造をシフトしてきた背景もあり、組織全体で足並みを揃える場としてソニーユニバーシティの役割は大きいですね。現在はシニア・ミドル・ジュニアの三層でグローバルプログラムを展開していますが、参加者数はある程度絞っています。選抜された社員が研修後、現場で成果を発揮し、その意義を伝播させていく「カタリスト(触媒)」となってもらうことを期待しているからです。
川 村参加者が限られるという課題に対して、日立では「LinkedInラーニング」を導入し、世界中の誰もが学べる環境を整えつつあります。ソニーさんは、研修後のフォローアップはどうされていますか?
安部氏参加者を前提としてですが、バーチャルなアラムナイ(卒業生)ネットワークを構築しています。同期の横のつながりだけでなく、期を超えた縦のつながりも重視しています。また、卒業生の中から3〜4名に次期受講生の「伴走役」を担ってもらうボランタリーな仕組みもあり、自身の経験を次世代の支援に活かしています。
川 村伴走役の仕組みは素晴らしいですね、ぜひ参考にしたいです。日立では今、企業としての共通メッセージをどう浸透させるかも大きな課題です。具体的には、①「One Hitachi」としての文化とリーダーシップ、②新経営計画「Inspire 2027」に基づくLumadaを中心とした事業戦略への貢献、③AI進化の中で「人がすべき役割」の明確化。この3点をグローバルコーポレートユニバーシティの軸として伝えていきたいと考えています。
安部氏ソニーも方向性は同じで、特に企業文化の継承と時代に即した進化をユニバーシティの最も重要な使命の一つとしています。「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」というパーパスを共通軸に、各事業がどう貢献するか、パーパス浸透の有効な手段としてユニバーシティを捉えています。

また、技術進化の中でソニーがイニシアティブを持ち続けるには、常にその本質を見極める必要があります。その一つであるAIについては推進のための専門部門を設立し、社員に積極的な活用を促していますが、ユニバーシティではその上位概念を深く考え、理解してもらうことを期待しています。AIはあくまで手段であり、リーダーとしていかに価値を創出するか。内省や批判的思考、そして正しい問いを立てる「オーセンティック・リーダーシップ」の重要性を再認識してもらいます。AIなどの技術が高度化するほど、人間としてのリーダーの在り方が問われると考えているからです。

ソニー×日立 対談:企業内大学の真価とは?

企業内大学だからこそ醸成できるカルチャーと価値

川 村普遍的なスキルや教養は、単なる知識習得ではなく、他の人との対話と議論を通じて血肉化されるものですよね。これをグローバル規模でどう展開するかが思案しどころです。
安部氏普遍的な知識についてはビジネススクール等の外部パートナーを活用していますが、ソニー独自のプログラムの意義として、ソニーの歴史や過去のリーダーの振る舞いを通して、ソニーの企業理念や文化の本質を理解し、それを発揮する人間力を形成することに主眼を置いています。ここで重要なのが多様性です。異なる事業背景を持つメンバーが議論することで、化学反応が生まれ、深耕が進みます。
川 村なるほど。ところで長期的な育成という考え方は、日本では定着しているものの、海外では定着しておらず、若手の選抜に苦労することがあります。参加者の選定についてはどのような工夫がありますか?
安部氏ジュニア層では、敢えて自発的な公募枠を設けています。学ぶ意志がある層は教育効果が非常に高いからです。一方でミドル・シニア層は、会社が一定の職責を委ねている以上、本来、各組織がしっかりと選抜できるべきであると考えています。以前、日立さんが求めるリーダー像を明文化されていると伺い、大いに参考にさせていただきたいと思いました。指標が明確だと選抜もしやすくなりますね。ソニーでは経営陣がユニバーシティの価値を深く理解して選抜自体を重く捉えてくれており、自事業からの参加者の名前を良く覚えています。これは運営側としても大きな励みになります。

この研修への参加は「会社があなたに期待している」というメッセージでもあります。中でも数年おきに上位ステップのコースに参加する社員には、投資されている実感がより強く生まれ、エンゲージメント向上にも繋がっています。
川 村経営層のコミットメントは不可欠ですね。ただ、海外の優秀な人財を日本側が完全に把握しきれていないという課題もあります。そこで、北米・欧州・インドなど各リージョンや全社レベルでの「One Hitachi」を強化し、各所で選抜された多様な人財について、地域や組織を超えて一体で議論する場を作りたいと考えています。共通の価観を持ちつつ、異なる背景を持つ人財がぶつかり合う場を、グローバル統一とリージョン育成の組み合わせで実現していく予定です。
安部氏ソニーの場合は地域よりもビジネスユニット(BU)ごとのオーナーシップが強いため、各BUのCHROと定期的に選出基準や将来の人財像について話し合い、方向性を合わせています。BU独自のプログラムと、グループ全体のプログラムを戦略的に連携させることを意図しています。
川 村BUごとの独自性とグループ共通のプログラムの内容はどう切り分けているのでしょうか?
安部氏ユニバーシティには25年の歴史があるため、各部門は「ここで何を学べるか」を良く理解してくれており、自然とBU独自プログラムとの役割分担ができています。部門によっては同じ人財に対し、年度ごとに派遣するプログラムを使い分けているところもあります。

ソニー×日立 対談:企業内大学の真価とは?

新しいリーダー像:「One Hitachi」で成長を
牽引する日立、個性を力にするソニー

川 村 日立では2026年度から、10項目のコンピテンシーを定義した新しいリーダーシップ育成プログラムを開始します。単なる研修に留まらず、アクションラーニングやコーチングを組み合わせた2年間の長期プログラムです。現場で良きリーダーであるための要素として、コーチングスキルまでを総合的に身につけることを目指し、3年間で1,000人規模の次世代リーダーを育成する計画です。
安部氏物事を包括的に体系化して取り組む姿勢は、さすが日立さんらしい、といつも感心しています。変化の激しいB2Cが主要な事業であるソニーは、あえて変わり続けることを前提としていますが、コアとなるリーダー像を深掘りする日立さんのアプローチからは学ぶことが多いです。我々が求めるのは、両者をうまく包含し、リーダー像をあまり固定化させ過ぎず自分らしさを見つめ直す「オーセンティック・リーダーシップ」です。360度評価や内省を通じて、パーパスに基づきながらも、自分なりの個性を発揮してほしいと考えています。

パーパスにある「感動」の実現方法は、リーダーの数だけあっていい。現在、ソニーユニバーシティ参加者のうち、日本人は2割程度ですが、日本人の発言や意見の質は海外メンバーからも高く評価されています。雄弁にビジョンを語るタイプだけでなく、深く思索し、本質的なメッセージを出す内向的なリーダーも増えています。多様性を受け入れるには、自身の個の確立が必要であり、その人なりの発揮の仕方が価値になると信じています。
川 村国や地域の垣根を越えて社員がお互いを認め、理解するためにも、まずは対面で深く対話する場を作ることが我々の使命ですね。
安部氏社内の人間だけで構成するプログラムだからこそ、価値観を共有した上で本音の議論ができる。そこに企業内大学の真の価値があると思います。
川 村グローバルでは物理的な距離の問題もありますが、バーチャルも活用しながら、おっしゃっていたアラムナイのように、共に学んだメンバーの関係を会社の財産として継続させることも組織を強くしますね。
安部氏日立さんもソニーも、根底にある問題意識は共通していると感じました。今後もぜひ、積極的に情報交換をさせて下さい。

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