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株式会社 日立アカデミー

第10回 閑話

-私の"気づき"の瞬間-

2014年10月27日'ひと'とITのコラム

'ひと'とITのコラムも早いもので第10回目となりました。これまでITやそれに携わる人財について熱く語ってきた永倉ですが、一体どんな人物なのだろう、と思っている読者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで、今回は熱い話は一休みして永倉自身についてご紹介したいと思います。

 本コラムは10回目を迎えますが、コラムの事務局から「少し堅いのでは・・・?」と言われ続けたので、今回は自己紹介を兼ねてオムニバス的に柔らかく書いてみたいと思います。

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《若い頃》
 高校時代は山岳部、大学時代は体育会自動車部に入っていました。
 実は、高所恐怖症でスピード恐怖症、ジェットコースターは私の人生では論外でした。今も高所恐怖症です。スピード恐怖症は限定範囲で克服しました。自らが運転している状況では平気というか好きになりました。ただ、人の運転など自らがコントロール出来ない状況ではやはりダメです。ジェットコースターは高所+スピードなので、克服の見込みはまったくありません(意志がないです・・・)。ま、そろそろ年齢や血圧の許容条件で乗りたくても乗れなくなるでしょう。山岳部と自動車部の両方に入ったことで学んだことは、「人間というものは立場変われば思うことも変わる」ということです。これら二つは共に林道を通ります。山岳部の時は疲労困憊で歩く横を自動車が土埃を巻き上げて通り抜けていきます。本音として気持ちは「ジャマだ!」。自動車部の時は突然出てくる登山者に対し本音として気持ちは「ジャマだ!」。立ち位置の違いで正反対の思いを持てるのが人間です。逆説的に考えると多様性の理解の素は、誰でも持っているのでしょう。

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《好み》
 雑学。雑学に興味を持ってから視野や思考の幅、コミュニケーションが拡がりました。ただし、講習や講演で話が脇道に大きく逸れ、たとえ話の範疇を超えてしまうという副作用を発症。知識そのものだけでなく知識の使い方が大切だということです。さらに困ったことに、脇道に逸れると戻り道を忘れてしまい、迷走の縁に立っている自分を頻繁に発見するこの頃です。

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《信じていること》
 「親父ギャグ」や「謎掛け」は、脳の活性化に良い。親父ギャグの受けは、基本的に最悪です。講習や講演では精々礼儀として微笑んでもらえるのが精一杯です。微笑みと思っているのは私だけで、苦虫をかみつぶしているだけなのかもしれません。人財育成に関わると都合が良いこともあります。この不人気の親父ギャグを、あらかじめ「人間力の育成」に話をすり替える弁解ができます。もっとも、本人は「人間力の育成」に資すると本気で思っています(だから、たちが悪いのかもしれませんが・・・)。「親父ギャグ」も「謎掛け」も、脳の働きで言うなら瞬時に右脳/左脳を同時に働かせています。言葉の意味や言葉の韻を踏んで別の要素と結びつけています。発想力です。「親父ギャグ」の場合、対象とする話題の品がなかったり、周囲の状況をわきまえないで言ってしまう、という致命的な欠陥(?)を抱えていますが、真面目な会議の場で真面目な内容で発想豊かに発言すれば、「発想力豊かな人、アイデアに溢れる人」などと言われるでしょう。根は同じ能力だと思っています。そうかぁ・・・受けが悪いのはKYだからなのかもしれません・・・

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《愛読書》
 ゴルゴ13。ゴルゴ13は、プロフェッショナルとはどういうものなのか、社会の表裏を見る必要性、地政学の重要性、など学べることが非常に多いのです。当然、その内容の信憑性や正当性など鵜呑みにしてしまっては問題です。しかし、視野の多様性や本質を見抜くための気づきを多く与えてもらえます。雑学と同様に、興味の幅は格段に拡がりました。
 ゴルゴ13で印象に残っているシーンは数え切れなくあるのですが、その中からひとつ。
 ゴルゴ13が仕事を頼んだ男のせいで2人とも敵に追われることとなったときの会話
 男「ドジを踏んで申し訳ない・・・」
 ゴルゴ13「・・・プロがプロを選んだのだから俺の問題だ・・・」 
 「仕事を任せる」ということの本質が端的に表れていると思います。相手が手抜きをしたのであれば別ですが、全力を出しての結果はその人を選んだ自分が負わなければならないということです。人選も仕事の能力のひとつであり、任せられるように育てるのもプロの仕事だと思わせてくれます。たかが漫画、されど漫画。

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《ITの進展を考えながら最近思ったこと》
 生物の進化とは、環境(特に自然)に順応し生き延びるために変化し続けることなのでしょう。変えられない環境に自らが変化していく、すなわち"負荷がかかり続ける"ことが進化の基本です。しかし、人類が経験している「科学の進化→技術の発達→環境を人類に合わせて変化させる取り組み→利便性向上→人類の負荷軽減→自らの変化の必要性の低下→人類の進化の停止」の歩みにより、文明の不連続的変化が起きたときに人類の滅亡につながる・・・
 人類の亡き後地球を支配するのが猿かゴキブリかはわかりませんが、彼らの歴史教育の中には次のような記載があるかもしれません。「昔、地球は人類という哺乳動物が繁栄していたが、自らが創り出した科学と技術により自らの進化を止めてしまい、地球の大きな環境変化に順応できずに滅んでいった。特に45億年頃に発明し急速に発展させたITという技術は、人類の特徴であった頭脳の進化までも停滞させてしまい、他の技術の進化と相俟って、滅亡への道筋を確かなものとし加速させた。」

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 「気づくことは面白い」ということに"気づく"と、日々流されがちな"日常"も悪くはない、と思えるこの頃です。

執筆者プロフィール

永倉 正洋

技術士(電気・電子部門)
株式会社 日立アカデミー
主幹コーディネータ
一般社団法人 人材育成と教育サービス協議会(JAMOTE)理事

日立製作所でシステムエンジニアリングの経験を経て、2009年に日立インフォメーションアカデミー(現:日立アカデミー)に移る。企画本部長兼研究開発センタ長としてIT人財育成に関する業務に従事。2011年以降、主幹コーディネータとしてIT人財に求められる意識・スキル・コンピテンシーの変化を踏まえた「人財育成のための立体的施策」立案と、 組織・事業ビジョンの浸透、意識や意欲の醸成などの講演・研修の開発・実施を担当している。

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